ポイント解説
中国を支配したフビライは国号を中国風に元と改めました。交通路が整備されたことにより東西交流も活発になり、ヨーロッパやイスラーム世界との交流もさかんに行われました。
1.フビライ=ハンの統治
・第5代皇帝:在位1260~94年
・カラコルムから大都に遷都
※大都:現在の北京
・1271年、国号を元に改称(~1368年)
①各地へ遠征
ⅰ.日本遠征(元寇)
・1274・1281年の2度
→失敗
ⅱ.南宋征服
・1279年に滅ぼす
→元は中国全土を支配
②モンゴル人第一主義
ⅰ.モンゴル人
・中央・地方の要職を独占
ⅱ.色目人
・中央アジア・西アジア出身
・財務官僚として重用
ⅲ.漢人
・金の支配下にあった人々
・漢族のほか契丹人・女真人なども
ⅳ.南人
・南宋の支配下にあった人々
・おもに漢族
※モンゴル人が色目人を利用して漢人・南人を支配
③科挙の中止
・士大夫の活躍の機会が少なくなった
※士大夫:儒学の教養のある知識人
・科挙は1313年に復活
2.交通・貿易の発達と庶民文化
①陸路交易の発達
・駅伝制(ジャムチ)…幹線道路に駅を設置、物資や情報を運ぶ
→駅周辺の住民が馬・食料を負担
②海上交易の発達
・杭州・泉州・広州などの港市が発達
③大運河の補修
・江南と大都を結ぶ南北の交通が発達
④海運の発達
・江南(長江下流)~山東半島~大都
⑤交鈔の発行
・元が発行した紙幣
※基本的な通貨は銀
⑥庶民文化
・元曲:古典演劇
例)『西廂記』『琵琶記』など
⑦パスパ文字
・モンゴル語を表記するために作成
→その後はウイグル文字にかわる
3.東西交流
※駅伝制、交通路の整備などで活発化
→多くの人物がモンゴル・元を訪問
①プラノ=カルピニ
・13世紀半ば、ローマ教皇の命令で訪問
②ルブルック
・13世紀半ば、ルイ9世の命令で訪問
※ルイ9世:第6・7回十字軍を指揮したフランス王
③マルコ=ポーロ
・イタリア・ジェノヴァ出身の商人
・フビライに仕える
・帰国後、『世界の記述(東方見聞録)』を口述
④モンテ=コルヴィノ
・13世紀末、ローマ教皇の命令で訪問
・中国で初めてカトリックを布教
⑤イブン=バットゥータ
・モロッコ出身の旅行家
・14世紀半ば、元を訪問
・『旅行記(三大陸周遊記)』を著す
⑥イスラームの影響
・授時暦:郭守敬がイスラームの天文学を取り入れ作成
※江戸時代の日本で授時暦をもとに永享暦を作成
4.元の衰退と滅亡
①衰退
・内紛の発生
・チベット仏教の保護による莫大な出費
・交鈔の濫発による物価騰貴(インフレ)
・重税→民衆の反乱
②滅亡
・1351~66年、紅巾の乱が起こる
※白蓮教徒による反乱
・1368年、朱元璋が南京を都として明を建国
→大都を占領、元を北方に追いやる
③北元
※1368~88年
・モンゴル高原に退いた元の残存勢力が建国
→明により滅亡
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