商業の発展、中世都市、封建社会の崩壊
1.商業の発展
・11~12世紀
・貨幣経済の普及と遠隔地貿易
→都市・商業が発展(商業ルネサンス)
・遠隔地貿易:以下①~③の商業圏で発達
①地中海商業圏
・イタリア諸都市の繁栄
ⅰ.開港都市
・ヴェネツィア、ジェノヴァ、ピサ
・東方貿易(レヴァント貿易)を行う
ⅱ.内陸都市
・ミラノ、フィレンツェ
②北ヨーロッパ商業圏
・北海・バルト海で交易
・北ドイツ諸都市:リューベック、ハンブルク
③内陸商業圏
・地中海商業圏と北ヨーロッパ商業圏の中継貿易で発展
ⅰ.シャンパーニュ地方(フランス)
・定期市で繁栄
ⅱ.南ドイツ
・アウクスブルクなど
2.中世都市の成立
・自治都市の形態は地域により異なる(①~③)
①北イタリア
・コムーネ(自治都市)が周辺地域を支配
→都市共和国を形成。完全に独立
例)ヴェネツィア共和国、フィレンツェ共和国
・ロンバルディア同盟:自治権を守るための都市同盟
②ドイツ
・自由都市(帝国都市):ドイツ皇帝直属の自治都市
←特許状を与えられ、自治権を保証される(諸侯と対等の地位)
例)リューベック、ハンブルク、ブレーメン
・ハンザ同盟:自治権を守るための都市同盟。リューベックが盟主
③イギリス・フランス
・国王との結びつきが強い
・自治権は弱い
3.自治都市の運営
①ギルドによる市政運営
※ギルド…商工業者の同業組合
ⅰ.商人ギルド
・11世紀~結成
・大商人が市政を独占
ⅱ.同職ギルド(ツンフト)
・13世紀~結成
・手工業者の親方による同職組合
・親方・職人・徒弟の厳格な区別
ⅲ.ツンフト闘争:13世紀~
・同職ギルドが商人ギルドと争いながら市政参加を実現
②富豪の出現
・アウグスブルク(南ドイツ)のフッガー家
・フィレンツェ(イタリア)のメディチ家
4.封建社会の崩壊
・1300年頃から衰退へ
①農民に対する束縛の弱まり
ⅰ.貨幣経済の浸透
・商業・都市の発展の影響による
・賦役・貢納から貨幣地代へ変化
ⅱ.黒死病(ペスト)の流行:14世紀
※百年戦争中(フランスVSイギリス)
・人口の減少、労働力不足をまねく
→領主は農民の待遇を向上
ⅲ.農奴解放の動き:16世紀まで続く
・農奴から独立自営農民(ヨーマン)へ
※イギリスで顕著
②封建反動と農民一揆
・封建反動:困窮した領主が農民への束縛を再強化
→農民一揆の発生
ⅰ.ジャックリーの乱
・1358年、フランス
ⅱ.ワット゠タイラーの乱
・1381年、イギリス
・指導者はジョン゠ボール
※「アダムが耕しイヴが紡いだとき、だれが貴族であったか」
③戦術の変化
・14~15世紀
・火砲の発明
→諸侯・騎士の没落
④国王による中央集権化
・封建社会の政治体制が解体
・のちの絶対王政へ
※この頃、教皇権は衰退(教皇権の盛衰の4.参照)
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